中学の合唱部を舞台にした青春ストーリー。
喜多川泰的な教養小説の趣でなく、等身大のリアルな中学生を描く。
それぞれの家庭が大なり小なり持っている人には言えない陰の現実を
胸に抱えながら、中学校という社会で生きている。

もともと女子のみだった合唱部に、
美人の臨時教員に恋焦がれて男子部員が殺到する。
当然、男子部員と女子部員は水と油。
それでもNHKコンクールを目指して、
様々事件を通して、絆を築き上げていく。

喜多川泰のような教訓が散りばめられているわけではない。
しかし、遠い昔に感じた淡い感傷がよみがえる。

コンクール当日の舞台上の臨場感は圧巻。
著者自身がNコン出場経験があるのではないか、
と思わせるプチ情報や体験談に満ちている。

合唱部だった嫁にもすぐにこの本は推薦した。(笑)