2007年04月07日

フランス父親事情 4

半世紀近い自分の半生を振り返ってみた時、
大きな人生の節目は三度あった。

一つ目は初めて親元を離れ、東京の大学に上京した時。19歳。
二つ目は結婚。33歳。
三つ目は息子が生まれた時。35歳

その中で最も大きな節目は三番目の子供が出来たことだろう。
いや正確に言えば、それ以後の子育てをしていく過程の
この十年の変化が他を圧倒するほどの大きさを持つ。

それまでの自分は「父性」はあったと思うが
「母性」という視点を全く持たなかった。
しかし息子を授かることによって、
「慈しみ」というものを学んだ。

むろん、男である以上、「出産」という意味での
生物的「母親」にはなれないものの、「慈母なる心」、
すなわち、精神的な意味での「母性」を学ぶことは出来る。

逆説めくが、私自身は「母性」を知ることによって
「父になれた」と言う気がしてならない。
ただこれは無論、私個人の実感である。
他の人には他の人の「父性」があるだろう。
お父さんの数だけ「父性」が存在していいと思う。
人それぞれ今生での課題がある。

本書はパリで20年以上過ごしてきた筆者が
自分自身が見てきたフランス社会の「お父さん事情」を
様々な事例をあげて紹介する。
それと同時にフランス史も俯瞰し、「父性」の歴史的変遷も示す。
さらに宗教・精神分析にまで及ぶ。
いわば「父性」という概念を縦糸と横糸の両面から分析する。

また、フランスの「父親像」を示しながら、
それを模範的尺度とし、
「だから日本人のお父さんはダメ!」
と短絡的結論を下していない点も清々しい。


赤ちゃんの半数が非婚カップルから生まれるというフランス。
今の日本社会とは余りにも異なる。
が、将来の日本はそうならないという保証はない。

むしろ
>フランス女性の要求の高さに辟易した
>男性たちがインターネットのお見合いで外国人女性を
>妻に迎えるケースが増えている
という事例を読むと
日本の現状と余りに似ている。
その対象がロシア女性か東南アジア女性かの違いだけだ。

>ちがう文化や国に向き合った時、私たちはそこに投影される
>自分の影に気づき、はたと振り返り、より客観的な視線を
>自分の実像に投げかける契機を掴むことができると思う
と、本書を書いた目的を著者は述べている。
その通り、見事にそれを実現してくれている。

今現在お父さんの人も、これからお父さんになる予定の人も
国は異なるが「父親」の現実の姿を知っておいて損はない。

国は違っても「父親」になるのは容易でないようだ。
が、これほどおもしろい「役回り」もない。
今現実に「父親」であるひとりの男として
その点だけは断言できる。

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「本が好き!」プロジェクト本年度15冊目参加作品。
評価:★★★★☆
本年度戦績:9勝4敗2分
3塁打
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フランス父親事情
  • 著:浅野 素女
  • 出版社:築地書館
  • 定価:1890円
livedoor BOOKS
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edge7 at 18:58コメント(4)トラックバック(0) この記事をクリップ!
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コメント一覧

1. Posted by つぶ庵   2007年04月08日 08:27
とがさん、おはようございます。

私も娘が生まれてから人生観が大きく変わりました。
おしゃる通り、「慈しみ」という心は、
子育てをする中で学んできました。
「今から過去に戻り、娘なしでの生活をして来い」
と言われても「絶対あり得ない」と拒否し、
それを思うだけでも、
はたしてこれだけ充実した人生を送ってこられたか
疑問に思います。

フランス人女性は理想が高く、
シングルマザーが多いそうですが、
日本でも女性の社会進出が盛んになってきているので、
子育て環境が今より充実すれば、
日本でも父親になれない男性が増えることでしょうね。

>これほどおもしろい「役回り」もない。
まさにその通りだと思います。
子供との生活は新たな発見の連続でもありますよね。
2. Posted by 本宮とが   2007年04月08日 20:53
つぶ庵さん、コメントありがとうございます。

つぶ庵さんもそうでしたか!?
いや〜、本当に自分自身を鏡で見ているような
人生を送っていますね、我々は。(笑)
これだけシンクロする方も珍しいです。

いつか将来どこかできっと
お会いすることになるんでしょうか!?

まぁ成行にまかせますかな。(^_=)
3. Posted by ppt   2007年04月08日 23:35
はじめまして!
トラックバックありがとうございました。
同じ本の他の方がどのように書かれているかも見れて、「本が好き!」の仕組みは楽しいですね。

> 国は違っても「父親」になるのは容易でないようだ。
> が、これほどおもしろい「役回り」もない。

僕も本当にそう思います。
日々本当に悲喜こもごもです(笑

父親というのは本当に貴重な体験をさせてもらえる機会だなと感じます。
4. Posted by 本宮とが   2007年04月09日 06:03
pptさん、コメントありがとうございます。

> 同じ本の他の方がどのように書かれているかも見れて、
>「本が好き!」の仕組みは楽しいですね。

全くです。
ただ評価が180度全く異なる方にトラックバックは
つけにくいです。(^_^;;
因縁つけているようで・・・
ですから自分と同じ方向の方にだけ
つけるようにしています。(笑)

> 父親というのは本当に貴重な体験をさせてもらえる機会だなと感じます。

本当にそうです。
「親になる」ということはものすごい勉強ですね。

これからも「お父さん稼業」頑張りましょう、お互いに。
(^∀^*)

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