「知的生産」に関する書籍と言ったら、
今から30年ほど前、私が大学生の頃、有名だったのは
「知的生産の技術」
「考える技術・書く技術」
「知的生活の方法」
あたり。

私自身大変お世話になった本ばかりで、
今読んでも「心構え」の部分では啓発される部分が多く、
良書だと思うが、いかんせん古さは否めない。
「京大型カード」も悪くはないが、
PCの登場しない「知的生産の技術」は21世紀では
片手落ちと言わざるをえない。

そこで、これ。


初めて勝間さんの本を読んでみた。
驚いたことに、TVのインタビューで見る、
彼女の話と同じリズムで語られている。
怒濤のマシンガントーク。(笑)

280ページほどの本だが、中味は極めて濃い。
彼女は情報を出し惜しみするタイプでないので、
コストパフォーマンスはすこぶる高い本と言ってよい。
大学入学と同時に本書を参考に知的生産を
始めれば、有意義な大学生活を送れるにちがいない。

「情報こそ現在の通貨である」という前提のもとに
いかにして良質な情報を獲得し、それを加工し、
富に変えるか、その合理的な方法を本書全体を
通して語っている。

そのためには「GoogleとIt機器を120%つかいこなし(P.39)」
「情報洪水から1%の本質を見極める6つの技術(P.64)」を駆使し、
「インプット力を高める6つの技術(P.106)」を身につけ
「アウトプット力を高める6つの技術(P.178)」を使いこなせ、
と説く。
一方で「知的生産を支える5つの生活習慣(P.220)」の改善し、
「5つの人脈作りの技術(P.248)」を使って情報をGiveし続ける。
そのためには
「今日から5つの新しい行動を今すぐ始めよう(P.272)」
と励ます。

返す刀で、「知的生産の邪魔になる6つの危険因子(P.222)」を
避けるよう忠告する。
すなわち、「喫煙」「過度の飲酒」「過度のテレビ視聴」
「過度のゲーム」「過度の人づきあい」「不安・心配事・疲労」。

語られていることは至極ごもっとも。
私も同意できることばかり。

ただ、これほど論理的・合理的に畳みかけられると
天邪鬼の私はちょっと鼻白んでしまいたくなるのも確か。
香山リカ氏が最新刊「「しがみつかない生き方」で「勝間和代をめざすな」」と書いている気持ちがわからないではない。(笑)

もっとも、著者もすべてを真似しろと言ってはいない。
「1つでも2つでも、今この本を閉じた瞬間に、何か新しい行動
をおこして」(P.285)と言っているに過ぎない。

自分が最も得意な方法で知的生産を行い、
その成果を自分が最も得意とするコミュニケーションスタイルで、
相手に情報のGive5乗をすることによって粛々と人脈を気づいていく。
要は「自分自身」の魅力を増すことが、究極の人脈の技術
と、まとめている。

いたく至言。

本書をバイブルに、勝間さんを目指す「カツマー」になるもよし。
こんな慌ただしい生活はイヤだ、と思えば、反面教師にすればよい。
要は「自分らしく」「楽しく」生きること。
これに尽きる。(^o^)

2009年度ブックレビュー#66