先日、DVDを見て感銘を受けたので、早速著作を読んでみた。

かぼ
石井 裕之
祥伝社 ( 2008-10-28 )
ISBN: 9784396613150
おすすめ度:アマゾンおすすめ度


「潜在意識」という用語はあまり多くは出てこないが、
彼の基本思想をうまく小説の中に溶かし込んでいる。
「心のブレーキの外し方」では、非常に論理的なスタンスで
話を進めていたが、本書は全く異なるアプローチ方法を採っている。
どちらかというと江原さんのスピリチュアル講話に近い。

たとえば、こんな輪廻転生の話。
人間は何度も生まれ変わる。そして、いろいろな人生を経験する。
どんなに幸せに恵まれている人だって、かつては辛い人生を生きたかもしれないし、
どんなに不条理な死に方をした人も、
次にはものすごく愉快な人生が待っているかもしれない。
(P.119)

彼の思想の根っこはおそらくこちらのスピリチュアルな面にある。
しかしそれを全面に出してしまうと、「摩訶不思議な」世界に迷い込んでしまうので、「論理」のタガで自らを締め付けている。

素直ってのが意外に難しい。
行き過ぎると迷信になっちゃうからね。
自分を失って、怪しげなものに依存するようになっちゃう。
だからちゃんと地に足をつけて、物質世界を健全に生きながらも、同時に神さまのことも聞けるような素直さをもつっていうのはね、これはかなりのバランス感覚が求められるんだよね。
(P.50)
これは自分自身への戒めとも読める。

ただこのスピリチュアル思想の上に
「潜在意識」の話がのっているので、石井さんの話は
私には非常に受け入れやすい。
逆に言うとスピリチュアル視点を持たない方には
彼の理論は全く胡散臭いものに聞こえるだろう。
アマゾンのレビューで低評価を付けている人は
そのあたりがどうしても受け入れがたいのだろう。
人それぞれなのでそれはそれでしかたがない。(^^;)

ボクの言葉が、染みこむように純平の心に入っていくのはなぜだと思う?
それはね、ボクが話してきたことが、すべて純平の中に最初からあったからなんだよ。
だから純平、思い出せばいいだけなんだよ。
難しくなんてない。
昔信じていたものを、ただ思い出そうとするだけでいいんだ。どこかに置き忘れてしまった宝物を探す旅のようなものなんだ
(p.118)
もともと自分の中に「それ」を持っている人は理解できるし、
持っていない人には、何度か輪廻を繰り返さない限り、
決して理解できないことだろうから。

どんなに回り道をしたとしても、やはりすべては光へと導かれている(P.163)
そう信じているからこそ、私は何があっても笑って生きていける。

越智啓子先生の言われるように
すべてはうまくいっている!!
のである。(*^^)

2009年度ブックレビュー#106