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(^人^)感謝♪


刑事眼―伝説の刑事の事件簿
  • 三沢明彦
  • 東京法令出版
  • 1890円
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書評


警視庁24時」というTV番組がある。
TVを余り見ない私が、録画してでも見たいと
思える数少ない番組のひとつ。
警察の裏側のご苦労を伝えるいい番組だと
思うが、TV的に面白おかしく演出する関係上
仕方のないことかもしれないが、
酔っ払いや暴走族絡みの映像が多いのが玉にキズ。
そんな下衆な行為は余り興味はない。
もっと職人のような刑事の地道な仕事ぶり
を知りたい、と思ってきた。
そんな好奇心を見事に満たしてくれる一冊。

顔写真だけを頼りに雑踏の中から指名手配容疑者を探し出す
専門の捜査官(見当たり捜査官)がいるなんて、初めて知った。
手作りの手帳に手配写真を貼り、細かい特徴が書き込み
毎日その写真とにらめっこするという。
そうやって数百人の顔を覚えてしまうという。
「正面の写真、横顔の写真。いつもいつも見とると
頭の中で立体的に見えるようになる。
昔からの知り合いみたいに、人込みの中でも
判別できるようになる(P112)」のだそうだ。
そうして年間100人以上を実際に逮捕してしまう
というのだから恐れ入る。

また「スリ」専門の捜査官の技も凄まじい。
スリが獲物をとらえるときに一瞬視線を落とす。
それを「眼が飛ぶ」という。
刑事たちは人込みの中でも眼が飛ぶ瞬間を見逃さない。
「眼が落ちる角度とその先だよ。角度は10度くらいかな(P130)」
「10度」・・・!?(;´▽`A``

名古屋駅の雑踏をこれまで無造作に歩いていたが
そうした中でも刑事と犯人との見えない攻防が
繰り広げられているとおもうと呑気に歩いていらない。(;´▽`A``

日本の治安低下が危惧され、
警察官の不祥事がマスコミをしばしば賑わすが、
刑事の大半は、本書で示されたような職人的勤勉さで
日々犯人と格闘し、そうした努力のおかげで
日本の治安は何とか保たれ、
我々は安全に暮らしていけるのだと思う。

普段は表に現れないが、社会の安全を陰で支えてくれている
方々の存在に気づかせてもらえる良書。

漢語を多用した硬派な文体も刑事の匠の技を伝えるのに
うまく適合している。
その点も最後に付記しておきたい。

2010年度ブックレビュー#055