昇一先生の「日本人のための日本の歴史」を語り尽くす
シリーズの第4弾。今回は江戸時代。


本シリーズは近現代から古代に遡って発刊されているのが特徴。
既刊は、
1.戦後篇「混迷の時代に」
2.昭和篇「昭和の大戦」への道
3.明治篇 世界史に躍り出た日本

江戸時代は前近代的な「暗黒時代」という、
誤った風潮が一部にあるが、決してそんなことばかりでなく
庶民の目線から見ると非常に愉快な時代でもあったとする。
今回もまた教科書とは一味違った方向から日本史に光を当てる。

たとえば、田沼意次。
賄賂政治の代表で教科書では悪の権化のように書かれている。
しかし、彼の時代に何があったか?
洋学が栄えて『解体新書』が刊行されている。
近世日本文学の代表といわれる上田秋成の『雨月物語』、
俳諧では与謝蕪村が登場し、
国学では賀茂真淵が『万葉集』などの古典を研究し、
本居宣長は『古事記伝』を書いた。
塙保己一は日本の史書・文学を収集し『群書類従』を編纂した。
仏教では白隠禅師が出て、『坐禅和讃』を著して
坐禅を庶民に分かりやすく解説した。
その他にも狂歌も川柳も栄えた。一番江戸らしい時代。
「悪い」時代に、これほど楽しくかつ後世に影響を及ぼす
有意義なものが次々出るわけがない、とする。
けだし、慧眼だろう。

また、石田梅岩。
教科書ではほとんど顧みられない影の薄い存在。(^^;)
しかし、彼は商人の出ながら、仏教・キリスト教・儒教を修め、
庶民に勤勉・誠実・努力といった徳目を私塾で教えた。
江戸時代の庶民の識字率・教育水準の高さは
石田梅岩一派(石門心学)によるところが極めて大きい。
いわば、江戸時代の斎藤一人さん的存在。(^-^)
そんな彼にスポットをあて、評価する。
江戸時代の二大文化は「浮世絵」と「石門心学」で
あるとまで述べている。

二つだけ例を挙げたが、目から鱗の情報は枚挙に暇がない。
ページを捲るたびに展開される知の展覧会に歴史好きな人間は
小躍りせずにはいられまい。
ただ、固有名詞が怒涛のように出てくるので
歴史が苦手な方は一度目は詳細な人名は軽く流して
大まかに歴史の流れを掴むようにして読む方が得策かもしれない。

歴史は「点」でなく「線」で捉えないと面白くない。
その意味で、昇一先生の話は「物語」として
つながっており、読みやすく頭に入りやすい。
江戸時代の政治経済文化の大筋はこれ一冊読んでおけばOK!
今回も全く期待を裏切らない。

次回は「戦国時代」。9月配本。
待ち遠しい。
。('-'。)(。'-')。ワクワク

2010年度ブックレビュー#067