著名な受験評論家である和田秀樹氏の初監督作品。


題名の通り、「受験」がテーマ。
全体の6割。
それ以外に、「緩和ケア」が3割。
「淡いラブストーリー」の要素も1割ほど占める。
どれも私の関心事なので、非常に興味深く鑑賞できた。

主人公である生徒役に寺島咲、塾講師役に豊原功補
おふたりとも派手さはないが演技は非常にうまく、
どちらも役柄にピッタリはまる。
すんなり感情移入できた。キャスティングの妙。

とくに大きなヒネリも予想外の展開もないが、
数々の受験テクニックや心構えは
受験を控えた者には大いに参考になるだろう。

それでも2時間という上映時間の絶対的な制約から
描ききれなかった受験テクニックをどうしても
伝えたいという思いで、映画製作後にそれを
小説として補足、出版している。

受験のシンデレラ
  • 和田秀樹
  • 小学館
  • 540円
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この原作があって映画化されたものではなく、
映画の脚本を元に、情報を新たに補充追補して
小説を書いたという点は珍しいパターンだと思う。

小説も読んでみたが、確かに受験のテクニックが
小説のほうが緻密に書かれており、
「受験」に興味のある人には小説の方もぜひお薦めしたい。

ただ、少女と塾講師の出会いまでがやや冗長の感あり。(^^;)
映画とは出会い方が微妙に異なるが、大きな影響はない。
映画で大まかな人間関係が理解できていれば
最初の部分は割愛し、実際に講義の始まる95ページから読むのが
時間の節約になるだろう。

内容的には「ドラゴン桜」と重なる部分も多いが、
「死」が絡む分、こちらの方が全体としては重い印象を残す。
映画も小説も個人的には十分合格点を付けたい。

初監督にして、ここまでの作品に仕上げた、
和田監督の力量はお見事と言う他ない。

「受験」「勉強」をメインにしながらも、
本作のようなエンターテイメント性も兼ね備えた、
「青春受験小説」とも言うべき分野を
和田さんには開拓していただくことを切に願いたい。(^-^)


2010年度ブックレビュー#072