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明朗であれ 父、渡部昇一が遺した教え [ 渡部 玄一 ]
明朗であれ 父、渡部昇一が遺した教え [ 渡部 玄一 ]

わが私淑する故・渡部昇一先生のご子息の書かれた、
追悼エッセイ集。

高校時代に初めて昇一先生の本に出会って以来
私の精神的支柱を作って下さったことは
以前エントリーした通り。

一時期、本気で中大を辞めて、上智大を再受験しようと思ったが
父親に止められ断念したことを告白しておく。(笑)

その昇一先生の晩年の様子が、ほぼ私と同年代のご子息の目
から描かれている。
知っている話もあったし、初めて聞く話もあった。

最後にこう書いておられる。
父の愛読者が、将来のことを考えて暗い気持ちになっていたら、父が書くであろう言葉が示す方向は決まっている。
明るい方へー
私は父と半世紀を過ごして、父が嘆き悲しむ姿はおろか、涙をこぼすところも、泣いているところも、見たことが一度もない。
武漢肺炎のこの混沌の中でも、「明るい方」を目指して歩んでいきたいと思う。

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夏の騎士 [ 百田 尚樹 ]
夏の騎士 [ 百田 尚樹 ]
本当は夏に読むつもりで買っておいた本。
表紙は、子供の頃によく見た真っ青な空に白い入道雲。
ザ・夏。
蝉の声まで聞こえてきそうである。

さて、内容。
主人公は小学生3人組。
運動・勉強ともちょっと苦手な悪ガキたち。
彼らが「騎士団」を作り、一人の「レディ」を守る誓いを立てる。
その騎士団の「恋心」が中心になって物語は展開する。

白と思ったものが黒かったり、
陰と思ったものが陽だったり。
人は全く見かけによらない。
Beauty is but skin-deep.
美貌も皮ひとえ。

次はどんな展開になるんだ〜!?
一度読み始めたら、止められない。
完全に百田ワールドに引き込まれる。
一気読了は必至。

そして最後のページをめくると見事なオチ
がきちんと準備されている。

胸躍る数時間の後、爽快な読後感も楽しめる。
エンターテインメントのお手本のような一冊。

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経済で読み解く日本史(1)文庫版 室町・戦国時代 [ 上念司 ]
経済で読み解く日本史(1)文庫版 室町・戦国時代 [ 上念司 ]

日本史の中でも、概して地味な印象の室町時代。
正直、「足利尊氏」「金閣寺・銀閣寺」「応仁の乱」程度の
用語しか私は思い浮かばない。(;^_^A
教科書は概ね面白くない。

著者は、教科書の記述が面白くない理由を「意図の欠落」にあると指摘する。
歴史的な出来事を起こした人々が何を考え、何を求めていたのか?
これが「意図(インセンティブ)」。
「経済的インセンティブ」と呼んでも良い。
そのことに対する答えが無いのだ。

「貧乏より金持ちの方がいい。お金はないよりあった方がいい」
「人間は生まれながらにして欲張り」
こういった万国共通の人間の変わらぬ性質のことを、
経済学では「アニマルスピリット」と呼ぶらしい。
そのアニマルスピリットの視点で室町時代を俯瞰する。

すると1本の線が浮かび上がってくる。

室町時代はシナからの銅銭による貨幣経済。
銅銭の流入量は貿易取引に依存するため、
常に不安定で不足気味である。
不景気になれば人の心は荒れる。
すると平時ならば見向きもされない過激思想に走る。
・・・
かくして「経済的インセンティブ」を探って
著者の筆は軽やかに進む。

また、「世田谷自然左翼」とか「あなご一本勝負」等
著者特有の言語センスで、事の本質を端的かつユーモラスに表現する。
比叡山延暦寺は・・・暴力団で言うなら山口組、大学で言うなら東大法学部、不動産会社で言うなら住友不動産・・・(P.88)
はその一例。

現代に生きる我々の生活と比較しながら、飽きさせることなく、
退屈な室町時代を一気に読ませる著者の筆致はお見事と言う他ない。

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