◆昨夕帰宅してから、
ほぼぶっ通しで読み続け一気に読了。
風は山河より第一巻

必要最小限のことを除き、時間の
すべてをこの本にあてることができた。

机の前で読み、疲れると布団に寝転がって読み、
眠くなると昼寝をし、起きると再び読み始める。
そう。
四半世紀前、大学生だった頃、
一人下宿でそうやって私は
青春時代の何年かを過ごしていたのだった。

あの頃は司馬遼太郎で、
そして今度は宮城谷昌光で。

レビューでは登場人物や地名に聞き覚えのないものが多く、
その点苦労したという声が多いが、
この物語の舞台となった「東三河」に住む私にとっては
申し訳ないくらい身近なものばかり。(^_^)
読みやすい、読みやすい。

「野田城」は車で15分の所にあり
「長篠合戦」跡地には30分で行ける。
歩いて5分の所にある神社の名前まで
出てきたときには思わず感嘆の声をあげたほど。

400-500年前にこのあたりで実際に起こっていた
歴史絵巻をみせてもらっているようで
これで興味の湧かぬはずはない。

◆さらに宮城谷は本書の中に1文字の
カタカナも使っていない。
白川静先生を師とするだけあって
漢字の素養は桁外れ。
漢字の持つ表現能力を極限まで駆使している。

実際、辞書にない漢語もいくつも出てきた。
たとえば、「淡愁」。
おそらく「たんしゅう」と読むのだろうが
辞書にはない。
中国の熟語だろうか、宮城谷はしばしば使っている。
字面からその意味するところは大体想像できる。
「涼しい影」にも通じる、私好みのイメージでもある。(^o^)

また、宮城谷自身が愛知県蒲郡市出身のせいか
東三河に関してしばしば語ってくれる。
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東三河は、東海地方では最高の文化の叢聚(そうしゅう)
というべき今川の文化圏にあり、
文武にひいでた牧野家をみてもわかるように、
文化程度は低くない。
むしろ今川の人文の光がとどかない西三河の方が
蒙(くら)いであろう。
文化とは伝統と想像の所産であり、
理知が情念を制御する場において成り立つ。
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なんてことを読むと、その延長線上にいる私自身が
褒められているようで、つい口元もほころんでしまう。

さらに
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三河で生きている者は、
農業を中心とする生活形態が思想の根幹にあり、
志のすえかたは、じみちな作業のすえに
秋の収穫を待つ心境に似ているので、
投機をふくむ商業という危険のはらんだ
実利的な契約世界に関心がない。
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という三河人のDNAの解説までしてもらえると
自分自身を解説してもらっているようで
思わず膝を叩いてしまう。


◆本書において、家康の祖父「清康」の偉大さを
初めて知った。
帯にある「家康の天下統一は関ヶ原の七十年前から
始まっていた」の意味がよくわかった。

第一巻の最後で、その清康は非業の死を遂げた。
二巻はどういう展開になるのだ!?
早く読みたい!!
Livedoorブックスよ、早く送ってくれ〜〜

800円で時間を忘れるほど
丸々一日楽しませてもらった。
幸せだ。
愉しすぎる。。。