3組のミドルエイジ男女の結婚・恋愛生活の紆余曲折を描く。
3組のカップルの関係を描くというのでてっきり
オムニバス形式かと思いきや、一つの話に3組が
うまく絡み合い、同時並行的に進行していく。
場面の切り替えもメリハリがあってタイミングもよく、
飽きることなく映画に没入できた。
三者三様の人間模様ながら、十分ありえる設定で
自己投影しやすかった。
あちらを立てれば、こちらが立たない。
光が当たれば、影ができる。
どちらを選択しても完全にはなりえず、
きっと何かが欠けてしまう。
そんな悲しくも滑稽な人間風景を
3組のミドルエイジがとてもうまく表現していた。
中でも、イッセー尾形と綾戸智恵の魚屋夫婦は
絶妙な味わいを出していた。
ただ唯一残念だったのは、
一番の主役であるはずの中村雅俊。
彼は30年間家族を顧みず仕事一筋の会社人間で、
外に愛人作って熟年離婚・・・という役柄なのだが
私には彼のイメージはどうしてもマイホームパパ。
それがどうしても抜けなかった。(;´▽`A``
佐藤浩市あたりを使ってくれると入り込めたかな。
奥さん役の原田美枝子が地味な主婦役と
独身になってからの垢抜けた女性の雰囲気を
見事に演じ分けていただけに実に残念。
最後の原田の選択は個人的には?だが、
30年間一緒に連れ添ったものだけが
到達しうる境地なのかもしれない。
部分的には泣ける感動的な場面もあったし、
テンポよく見ることが出来た。
しかし、中村のキャスティングと
唐突なエンディングがちょっと興醒め。
他の2組のカップルの展望も含めて、
もう少し余韻を残してフェードアウトして欲しかった。
そのあたりを割り引いて、☆×4。